ちはやふる 「待つ」ことの難しさと可能性
「いのちを守るstay home週間」と呼ばれていた4月5月間、色々なアニメを見ていた。
true tears、響け!ユーフォニアム、やがて君になる、若おかみは小学生、ちはやふる…
過去に見たことがある作品群だったが、こういう時期に見るとどういう感想になるんだろうという衝動で一気に画面に食らいついていた。
true tears最終話「君の涙を」の中で主人公の母親である仲上しをりは、ヒロインの一人である湯浅比呂美と色々な過程を経て和解(結束?)をする。
しをりは一人暮らしを始めた比呂美の家にあがり、(画面右下に俯きながら)お茶を飲みながらこう言う。
「待つのって…体力いるのよね」
比呂美は(画面左下に俯きながら)静かに返答をする。
「ありがとう…ございます…」
truetearsは様々な名シーンが挙げられるが、このシーンは鳥肌が立つくらいのドラマを垣間見られる。しをりが過去どんな「待つ」場面があったのか、本編では一切描写されない。彼女の表情や比呂美と対称的な構図はまるで鏡合わせの二人だ。
「待つ」ことの辛さ、苦しさ、切なさの中に可能性を信じるまなざしも確かにあった。
今回はこのままtruetearsをダラダラ書いても良いかなあと思っていたが、やっぱり「ちはやふる」熱が最高潮にあるため、「ちはやふる」にシフトしていきたい。
ちはやふる第五話「よはのつきかな」である。
主人公綾瀬ちはやは小学時代に出会った綿谷新にかるたを教えてもらい、そこからひたすらにかるたの経験を積み重ねていた。新は福井に転校しなくてはならなくなるが、「かるたを続けていればまた会える」という言葉をお互いに掛け合い再会を誓って別れを告げる。
高校生になった彼女らは新に連絡すると、もうかるたはしないと言われてしまう。
真相を知るため福井に行くと、新はかるた大会に出ている間に祖父が亡くなってしまったことを契機にかるたをできなくなってしまったことを知る。
しかし、ちはやの説得によって新はかるたを再開したい。また、ちはやに会いたいという芽が息吹く。
ちはやに同行していた真島太一は言う。
「新は必ず戻ってくるから、俺たちは日本一のかるた部を作ろう。強くなってあいつを待とう」
ちはやふる3最終話「かぜをいたみ」である。
高校3年となった彼女らは進路を考えていた。真島家は母親による医者になれという圧があった。太一はちはやに告白をするが、ちはやはそれを断る。
傷心と医者になるために本格的に勉強をするという動機から太一はかるた部を辞める。
一方でメキメキと確実に名人への道を進んでいた新は、個人戦だけでなく団体戦もしたい気持ちから、高校で部員を集めて個人戦との違いを痛感していた。そして、太一が部を辞めるという話を聞き、新はちはやに言う。
「太一は必ず戻ってくるから、強くなってあいつを待とう」
思えば、ちはやふる1が放送されていたのは2011年の10月で今から9年も前だ。
ちはやふる2は2013年1月、そして3は2019年10月に放送された。
もっぱらアニメ派である私は、当時1と2を見終わった後にいつ次放送されるのか楽しみで仕方がなかった。2放送終了後、約6年間私と同じような「ちはやふる」ファンが「待ち続けていた」と思う。
想像する。この6年間のことだ。
私のように「ちはやふる3」を見られたファンはどれほどいただろうか。
もしかしたらもう興味が無くなってしまった元ファンもいたかもしれない。
もしかしたらもう亡くなってしまったファンもいるかもしれない。
そんなことを想像していた。
「待つのって…体力いるのよね」
彼女の言葉をまた思い出していた。stay home週間の最中だった。
stayには「とどまる」という意味もあるが、「耐える」、「支える」、「励ます」
という意味があることを知った。
「待つ」ことの難しさ、切なさ、厳しさを私たちは痛いほど認識させられていた時だった。太一と新の「あいつを待とう」という言葉に私は非常に感情を揺さぶられていた。